こんにちは。
皆さんは「くしゃみ助かる」文化をご存じでしょうか。
これはVTuber等一部の界隈に定着しつつある奇妙な文化です。
この記事では、「くしゃみ助かる」文化に対する、くしゃみフェチによる考察を綴ります。
概要・歴史
「くしゃみ助かる」は、端的に言うと推しのくしゃみという偶発的な事象に出会えたことに対する嬉しさや感謝を表します。
この時点で理解に苦しむ人が続出すると思いますが、諦めて受け入れてください。
主にVTuberがくしゃみをした際に視聴者側が返す言葉として使われています。
くしゃみの後には、チャット欄に「くしゃみ助かる」関連のチャットやスーパーチャットが多数投稿され、突然チャット欄が加速します。興味深い現象だと言えます。
この言葉は英語で言うところの Bless you. にあたるでしょう。
(冗談です。強いて言えば、Thank you for sneezing. といったところでしょうか)
初出はおそらくVTuberが登場してから間もない2017年~2018年前半であり、2018/06~2018/12で徐々にインターネットミームとして定着していったという経緯があります。
(当時のTwitterでの初出は2018/04-2018/08辺りです。
VTuberの先駆者的存在であるキズナアイさんの2018/08以前の動画も調べましたが、動画勢のためくしゃみは見当たらず。なんと、2024/06/30に全動画が非公開化されましたけどね!)
一応「くしゃみフェチ」の説明もしておくと、これはくしゃみに対して性的な魅力を感じる人々を指します。
くしゃみフェチが最初に感じたこと
私はとあるVTuberの配信を見ていたとき、「くしゃみ助かる」という言葉を初めて目にしました。
貴重な瞬間を見られて嬉しい、または性的な魅力を感じさせてくれて助かるというのがこの言葉の直接的な意味だと思いますが、私の視点ではそれに加えて、ミュートしたり抑えたりせずにくしゃみを聞かせてくれた配信者に対する感謝や、さらにはくしゃみの発生に至らせたこの世界のすべての要素への感謝さえ自然に読み取ることができます。
先程は奇妙な文化と書きましたが、くしゃみフェチの私からすれば自然な表現だったというわけです。
助かるや助かったという表現は、相手への感謝を表す場合にもよく使われますが、この場合も同じです。
このように「くしゃみ助かる」からは、自分自身の感じる嬉しさ及び聞かせてくれた相手への感謝を読み取ることができます。
そして、このような複雑な感情が、たった7文字で端的に表されています。
あまりに美しすぎる。美しすぎませんか。
私は初めてこの言葉と出会ったとき、込められた思いにこの上なく共感したし、あまりの美しさに大変感動したことを今でも鮮明に覚えています。
一つの言葉に対してここまで感動することがあるでしょうか。いや、ない。
以上が、くしゃみフェチの1人である私が「くしゃみ助かる」と出会って最初に感じたことです。
使われる理由の考察
「くしゃみ助かる」は、くしゃみフェチに限らず多くの人に使われています。
私の視点から考えられるその理由を大きく分けて2つ言語化してみます。
理由1
1つ目の理由は、他にくしゃみに対する適切な返答がないという点です。
英語には前述の Bless you. という表現があります。
起源の有力な説によると、くしゃみとともに魂が抜けてしまうので、その人に対して神の御加護をという思いが込められているようです。(God bless you. の省略形です)
このことから、Bless you. は相手を労わる気持ちが伝わる的確な返しであると言えます。
しかし、日本語には対応する言葉がなく、強いて言うなら「大丈夫?」や「お大事に」くらいでしょう。
このように、一対一対応した返答がない状況では、配信中に咄嗟の返答をする人数は少なくなると考えられます。
そこで、一目でくしゃみに対する返答だと分かる「くしゃみ助かる」です。
「大丈夫?」や「お大事に」に対するこの言葉の優位性は3点あると考えています。
1点目は、本気で心配しているという印象を与えずにライトに使えるという点です。
推しではないが何となく見ている場合などは特に有効です。
いわゆる、杞憂というのを避けることができます。流石に杞憂でしょうか。
2点目は、盛り上げやすいという点です。
心配するような言葉が並ぶと沈んだ空気に感じてしまうかもしれませんが、「くしゃみ助かる」はそういった印象は与えず、かつ配信者側も面白い反応をしやすいと考えられるので、配信を盛り上げるためのコメントにはとても使いやすい言葉です。
3点目は、配信者に心苦しさを感じさせないようにできるという点です。
中にはくしゃみを配信に乗せてしまったことを申し訳なく思う人もいるでしょう。
そんなとき、「大丈夫?」「お大事に」にはそのフォローの意味合いが含まれていませんが、助かるは感謝を表す言葉であり、むしろありがたいので申し訳なく思う必要はないと解釈できます。
このように、他の返答と比べるとかなり使いやすい言葉であることが伺えます。
理由2
2つ目の理由は、大衆の感覚から大きく外れていなかったという点です。
現在、多くのVTuberはライブ配信を主な活動形式としています。
ライブ配信の良さとしては、同じ今を共有する感覚を得られるという点があると思います。
VTuberの場合、キャラクターが実在している感覚を楽しめる上、チャットを通して相互のやり取りができるでしょう。
では、くしゃみをミュートした場合、視聴者はどう感じるでしょうか。
都合の良い情報だけを発信しているように読み取れ、画面の向こうの人と自分との間に大きな壁を感じるとともに、キャラクターが実在しているという感覚は薄れるでしょう。
そのため、くしゃみも配信に乗せてほしいと感じる人は少なくないのではないでしょうか。
加えて、くしゃみは生理現象であり、バーチャルなキャラクターに対してより人間味を感じることのできる要素であるため、なおさらです。
生の視覚情報がないことにより、生理現象でありながら嫌悪感を感じづらいことも影響を与えているでしょう。
そういうわけで、くしゃみを聞いたときに自然と感謝の気持ちを抱く人が多かったのかもしれません。
くしゃみ助かるのすべてに共感できなかったとしても、一部には共感できる人が多かったことが、インターネットミームとして定着した大きな理由だと思います。
この点は、キャラクターの存在が曖昧であるVTuberであるからこそ出てきた考え方ですので、VTuber界隈で特に使われる理由の説明にもなるでしょう。
その他
派生語
くしゃみ助かるから派生した言葉もあります。
有名なものに「浴びた」があります。これはホロライブでよく使われている印象です。
直接的な意味は、くしゃみの飛沫を浴びたということです。
あまりに浴びたすぎるがゆえに、実際に浴びている幻覚を見たとも捉えられます。
くしゃみに対して魅力を感じていることは変わりませんが、感情を実際の行為に具体化しているため、より生々しい表現になっています。
攻めた表現である点と、くしゃみについて言及していることが不明瞭である点を踏まえると、広く浸透することはないと思います。
ただ、アイドル性を重視するホロライブでは、汚い部分も含めて好きや推しの対象であることが伝わる「浴びた」のほうが好まれたのかもしれません。
余談ですが、くしゃみに合わせて霧吹きをかけることで、「浴びた」を体現する奇特な人もいるようです。素晴らしい発想ですね。
くしゃみに表れる個性
くしゃみは、実は非常に個性が表れやすい面白い行為です。
くしゃみの仕方はもちろんのこと、配信にどの程度の音量で乗せるか、した後にどのような説明や言い訳をするか、くしゃみ助かるに対してどう反応するかなどの対応は、配信者ごとに大きく異なります。
さらにこれらは咄嗟の行動なので、その人の性格がかなり反映されやすいです。
単にくしゃみと言っても、注目すべき点は多いということですね。
もちろん、配信者側がこの性質を逆に利用するケースもあるでしょう。
私は「ビジネスくしゃみ」という言葉を何度か目にしたことがあります。うまく表現したものです。
(このような考えが出てきたのも、くしゃみ助かる文化が広く浸透してきた証である気がします)
私は作り物のくしゃみには魅力を感じませんが、それはそれで1つの個性でしょう。
以上の通り、くしゃみはキャラクターを形作る重要な一要素であると言えます。
実際、くしゃみからファンになる人もいるようです。
かく言う私も、くしゃみが気になったVTuberを見てみるということはよくしています。
逆もまた然りです。1話切りならぬ「くしゃみ切り」ですね。
くしゃみはそう簡単に出会えるものではありませんが、もし運良く出会うことができたなら、これらの観点を少し思い出してみてください。VTuberの配信を少し違った角度で、より楽しめるかもしれませんよ。
最後に
ここまで、「くしゃみ助かる」文化の考察をしました。
皆さんも、この言葉を使ってどんどん配信を盛り上げていきましょう。きっと、いつかは真の意味を理解できる境地に達するでしょう。
最後に宣伝ですが、くしゃみ切り抜き始めました。
多くの人にくしゃみの素晴らしさが伝わることを願っています。
それでは、また。
コメント一覧