土ミョルニル編成は非常に大きなダメージを与えるため、ダメージ上限よりも基礎火力を上げるほうが与えるダメージが大きくなります。
したがって上限武器を編成しないほうが良いことになりますが、この理由を詳細に解説します。
本記事では、ミョルニルに限らず、すべての状況で必要となる基礎知識を説明します。全騎空士が理解しておくべき仕様です。
基礎知識
ダメージ減衰の仕様
まずは、ダメージ減衰の説明を見てみましょう。攻略サイトから引用します。
グラブルでは、攻撃力を上げていくと比例してダメージも上がる。しかし一定のダメージを越えると補正がかかり、攻撃力の上昇に比してダメージの上昇が少なくなる。これを一般に「ダメージ減衰」と呼ぶ。
以下に、通常攻撃の減衰表を示します。
補正前ダメージ 減衰率 補正後最大ダメージ 0 〜 30万 0% 30万 30万 〜 40万 20% 38万 (30万+10万×0.8) 40万 〜 50万 40% 44万 (38万+10万×0.6) 50万 〜 60万 95% 44.5万 (44万+10万×0.05) 60万 〜 99%
例えば、補正前ダメージが20万なら、20万ダメージを与えることができますが、補正前ダメージが40万の場合、実際に与えるダメージは38万になります。
このように、ダメージ量が大きくなるにつれて、徐々にダメージ増加量が小さくなっていきます。
99%減衰に到達したときの補正後ダメージ (通常攻撃の場合は 44.5万) のことを、一般に「ダメージ上限」と呼びます。
ダメージ上限に到達するのは補正前ダメージが60万のときであり、減衰の補正によって44.5万になります。
ダメージ上限以降は、補正前ダメージの1%分しかダメージに加算されないため、火力を上げてもダメージ上限とほとんど同じダメージしか出せなくなります。
ダメージ上限上昇の仕様
次に、ダメージ上限上昇の説明を見てみましょう。こちらも攻略サイトから引用します。
「ダメージ上限UP」とは、ダメージ減衰のラインを引き上げる効果。ダメージ上限10%UPであれば、通常攻撃のダメージに20%減衰補正がかかるラインが30万から33万へと引き上げられる。結果として与えられるダメージ上限も上昇する。
このように、ダメージ減衰の範囲が広がり、ダメージ上限に達するまでのダメージ量が増加します。
例えば、上限上昇20%の場合、20%減衰ラインは 48万(= 40万 × 1.2)、99%減衰ラインは 72万(= 60万 × 1.2) といった具合です。
ダメージ計算の例
実際に、減衰によってダメージがどのように変化するのか、簡単な例を見てみます。
ある編成で通常攻撃の補正前ダメージが72万(= 60万 × 1.2)だったとします。
このとき、上限20%をつけると、補正後ダメージは 44.5万 × 1.2 = 53.4万 になります。
つけない場合は、44.5万 + (72万 – 60万) × 1% = 44.62万 になります。
ダメージ上限20%により、ダメージが約1.2倍になりました。
では、ダメージ上限なしで 53.4万 を出すために必要な補正前ダメージを考えると、
(53.4万 – 44.5万) ÷ 1% + 60万 = 950万
これは60万の約16倍なので、上限付近の火力であれば、上限20%には基礎火力16倍相当の価値があることになります。
この状況においては、基礎火力よりも、ダメージ上限を上げるほうが効率が良いと言えます。
上限20%は武器枠3枠で確保できますが、基礎火力を16倍にするには3枠では到底及びません。
ダメージ量とダメージ上限上昇の関係
ダメージ上限上昇の法則
ダメージ上限上昇で重要な法則は、99%減衰に到達している場合、99%減衰までのダメージのみを上昇させることだと思います。
例えば、通常攻撃に20%上限をつければ、44.5万 × 1.2 までのダメージのみが1.2倍され、以降は1倍で加算されます。
先程の通常攻撃の例で説明すると、ある編成の通常攻撃の補正前ダメージが100万である場合、前述の通り72万(= 60万 × 1.2)が99%減衰ラインであるため、以降は1倍の加算、つまり1%分の加算になります。すると、補正後ダメージは、
44.5万 × 1.2 + (100万 – 72万) × 1% = 53.68万
このように、44.5万 × 1.2 までの部分のみが1.2倍されることになります。
この法則は、ダメージ上限上昇の定義から導き出せます。具体的には、99%減衰以降の減衰率が一定であることに起因します。
一応、以下にこの法則の証明を記載しておきます。
(実は、例えばダメージ上限上昇を20%をつけたときに、ダメージ上限が20%上昇することは自明ではありませんが、以下の証明の中で併せて示しています)
証明を表示
ダメージ増加量をf(x)とします。
これは、先程のダメージ減衰表のことです。つまり、通常攻撃の場合は以下で表せます。
f(x) =
1 (0 <= x < 30万),
0.8 (30万 <= x < 40万),
0.6 (40万 <= x < 50万),
0.05 (50万 <= x < 60万),
0.01 (60万 <= x)
ここに、ダメージ上限上昇を α (= 100α %) つけた場合のダメージ増加量を g(x) とおくと、
g(x) = f(x / (1 + α))
と表せます。x軸方向に(1 + α)倍の補正がかかっています。
次に、補正後ダメージをF(x)とおくと、Fはfの原始関数(0からxまでの積分)になり、F(0) = 0 です。
同様に、ダメージ上限上昇 α (= 100α %) の場合の補正後ダメージをG(x)とおくと、Gはgの原始関数(0からxまでの積分)になり、G(0) = 0 です。
G(x)を求める前に、f(x)を以下のようにおきます。f(x)は定数関数を複数組み合わせた関数であることを表しています。
f(x) = a[n] (x[n] <= x < x[n + 1])
ただし、n = 0, 1, 2, …, N – 1 であり、x[0] = 0, x[N] = ∞
一応補足すると、x = x[N – 1] が99%減衰ラインということになります。
加えて、a[N – 1] = 0.01 です。
ここで、f(x)を (1 + α) x[n] から (1 + α) x[n + 1] まで積分してみます。
F(x[n + 1]) – F(x[n])
= (x が x[n] から x[n + 1] まで)∫ f(x) dx
= (x が x[n] から x[n + 1] まで)∫ a[n] dx
= a[n] (x[n + 1] – x[n])
定数関数の積分なので、単に定数とxの範囲との積になります。
Fのダメージ上限を MAX とおくと、
MAX
= F[x[N – 1]]
= F[x[N – 1]] – F[x[0]]
= (n が 0 から N – 2 まで)Σ (F[x[n + 1]] – F[x[n]])
= (n が 0 から N – 2 まで)Σ (a[n] (x[n + 1] – x[n]))
次に、g(x)を (1 + α) x[n] から (1 + α) x[n + 1] まで積分します。
G((1 + α) x[n + 1]) – G((1 + α) x[n])
= (x が (1 + α) x[n] から (1 + α) x[n + 1] まで)∫ g(x) dx
= (x が (1 + α) x[n] から (1 + α) x[n + 1] まで)∫ f(x / (1 + α)) dx
= (t が x[n] から x[n + 1] まで)∫ f(t) (1 + α)dt
= (1 + α)(F(x[n + 1]) – F(x[n]))
= (1 + α) a[n] (x[n + 1] – x[n])
Gのダメージ上限 G[(1 + α) x[N – 1]] は、
G[(1 + α) x[N – 1]]
= G[(1 + α) x[N – 1]] – G[(1 + α) x[0]]
= (n が 0 から N – 2 まで)Σ (G[(1 + α) x[n + 1]] – G[(1 + α) x[n]])
= (n が 0 から N – 2 まで)Σ (a[n] ((1 + α) x[n + 1] – x[n]))
= (1 + α) (n が 0 から N – 2 まで)Σ (a[n] (x[n + 1] – x[n]))
= (1 + α) MAX
よって、Gのダメージ上限は、Fのダメージ上限の (1 + α) 倍になります。
最後に、(1 + α) x[N – 1] <= x を満たすxについて、F(x)とG(x)を求めて比較します。
F(x)
= (x が 0 から x まで)∫ f(x) dx
= MAX + (x が x[N – 1] から x まで)∫ f(x) dx
= MAX + a[N – 1] (x – x[N – 1])
ダメージ上限を超えた分のダメージ量を h(x) とおくと、
h(x) = a[N – 1] (x – x[N – 1]) となり、
F(x) = MAX + h(x)
G(x)
= (x が 0 から x まで)∫ g(x) dx
= (1 + α) MAX + (x が (1 + α) x[N – 1] から x まで)∫ g(x) dx
= (1 + α) MAX + a[N – 1] (x – (1 + α) x[N – 1])
= (1 + α) MAX + a[N – 1] (x – x[N – 1]) – α a[N – 1] x[N – 1]
= (1 + α) MAX + h(x) – α a[N – 1] x[N – 1]
α a[N – 1] x[N – 1] は非常に小さい定数なので無視すると、
G(x) ≒ (1 + α) MAX + h(x)
F(x)とG(x)を見比べると、ダメージ上限までのダメージが(1 + α)倍され、それ以降は1倍で加算されていることがわかります。
ダメージ上限上昇の価値
この法則から、99%減衰に該当するダメージ量が大きいほど、ダメージ上限上昇の価値は低くなると言えます。
では、実際にダメージ上限を大幅に超える火力を計算してみましょう。
補正前ダメージが1億60万の場合、補正後ダメージは、
44.5万 + 1億 × 1% = 144.5万
ここにダメージ上限20%をつけると、
44.5万 × 1.2 + 1億 × 1% – 60万 × 20% × 1% = 153.28万
これは補正前ダメージの約1.06倍です。
44.5万の部分はダメージが20%増加していますが、全体でみると6%程度だということです。
次に、ダメージ上限なしで 153.28万 を出すために必要な補正前ダメージを考えると、
(153.28万 – 44.5万) ÷ 1% + 60万 = 1億938万
これは1億60万の約1.09倍です。
この場合、ダメージ上限20%には基礎火力1.09倍相当の価値しかありません。
(対して、上限付近の火力の場合は基礎火力16倍相当の価値がありました)
この状況においては、ダメージ上限よりも基礎火力を上げるほうが効率が良いでしょう。
上限20%は武器枠が3枠必要ですが、基礎火力を1.09倍にするのは1枠で事足ります。
このことから、ダメージ量が大きいほど、ダメージ上限上昇の価値が低くなることが確認できました。
以上から、ダメージ量が非常に大きい場合には、上限武器よりも基礎火力を上げる武器を編成したほうが良いことが示せました。
運営に対する不信感
余談ですが、本記事執筆の数時間前に、ミョルニルの効果が変更されました。
残念なことです。所詮人間が提供するゲームなど、後から修正することでしかまともな環境調整ができないのです。
さらに、このような記載もありました。
「また、近日中のアップデートにて、一部のアビリティおよび召喚石によって発生するダメージが、想定を大きく上回る過剰な数値にならないよう、ダメージ減衰設定を追加いたします。」
あまりにくだらない調整だといえます。
これはゲームの根幹に関わる調整なので、ミョルニルの調整などとは比べ物にならないほど大きな問題です。
このような調整をされては、運営に対して不信感を抱かざるを得ません。
ダメージ上限ではなく減衰が設定されているというのがこのゲームの面白さの1つだと思うので、その長所を自ら失っていく姿は哀れでなりません。
そしてこの減衰追加は、今後の性能調整を放棄したという意思表示でもあります。このような調整をしているようでは、このゲームに未来はないでしょう。
最後に
ダメージ減衰とダメージ上限上昇の仕様及び法則と、そこから導かれる結論について話しました。
グラブルは仕組みが非常に複雑なので、こういった細かい仕様の理解を1つ1つ積み重ねていきましょう。
それでは、また。
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